「キャリアアップ助成金」という名前は聞いたことがあっても、自社が本当に対象なのか、どのコースが合うのか、そもそも何から手をつければいいのか、分からないまま時間が経ってしまう事業主の方は少なくありません。
足立区在勤のライター、タカです。地域情報メディア『あだちリンク』で主に足立区エリアの事業者向け情報を書いています。わたし自身も小さな事業所の運営に関わってきた経験から、制度の名前だけが先行して「なんとなく使えそう」で止まっている場面をよく見てきました。
この記事では、キャリアアップ助成金の基本的な仕組みと足立区の事業者が押さえておきたい相談先の整理を中心にまとめます。制度の詳細は申請前に必ず公式確認が必要ですが、何をどの順番で見ればいいか分かると、動きやすくなります。
キャリアアップ助成金を「知っている」だけでは動けない
この助成金は、非正規雇用労働者(アルバイト・契約社員・パートタイマーなど)のキャリアアップを促進するために、取り組みを実施した事業主に国が助成する制度です。制度全体は厚生労働省が運営しており、足立区独自の制度とは異なります。
名前は広く知られていますが、コースによって対象者・条件・手続きの順番が大きく違います。「使えそう」と思ってから調べると、準備の順番を間違えていたというケースも珍しくありません。
足立区の事業者が地域名で探す理由
キャリアアップ助成金は国の制度で、足立区に特別なコースがあるわけではありません。ただ、相談や申請の窓口は「事業所の所在地を管轄するハローワーク」になるため、足立区の事業主にとっては管轄窓口がどこかが重要です。
足立区の事業所が対象となるのはハローワーク足立(足立区千住1-4-1 東京芸術センター6〜8階)です。キャリアアップ助成金の相談・申請はここの事業所第三部門が窓口となっています。窓口が分かるだけで、動き出しやすくなります。
現在設けられているコースを見分ける考え方
令和7年度時点では、正社員化支援と処遇改善支援という大きく二つの方向があり、その下に複数のコースが設けられています。まず「自社でやりたいことは何か」から入ると、コースを選びやすくなります。
- 正社員化コース
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有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換した場合に助成。中小企業の場合、1人あたり最大80万円(重点支援対象者・2期)が目安です。
- 賃金規定等改定コース
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有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額改定し、規定を適用した場合に助成。
- 賃金規定等共通化コース
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全ての有期雇用労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定を新たに作成・適用した場合に助成。
- 賞与・退職金制度導入コース
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有期雇用労働者等に賞与または退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成。
- 社会保険適用時処遇改善コース
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短時間労働者が社会保険の被保険者要件を満たす際に、賃金増加等の取り組みを行った場合に助成。
コースごとに対象者・条件・支給額が異なり、年度途中に要件が変わることもあります。内容は申請前に必ず最新の公式情報で確認が必要です。
実施前に社内で動かしておきたいこと
見落としやすいのが、「キャリアアップ計画書」の提出タイミングです。この計画書はコース実施日の前日までに管轄労働局長へ提出していないと、後から申請しても受け付けてもらえません。
計画書の作成には「キャリアアップ管理者」の選任も必要です。管理者は複数の事業所や労働者代表との兼任はできないため、誰が担当するかを早めに決めておく価値があります。
就業規則と雇用条件で先に見ておきたい点
正社員化コースを例にとると、転換前から「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されていることが求められます。就業規則に差が明示されていないと、実態として差があっても対象外になるケースがあります。
また、正規雇用労働者の定義として「賞与または退職金制度と昇給」が就業規則に規定されていることも確認が必要。この点が曖昧なままでは、転換後に要件を満たせないことも出てきます。
わたし自身、就業規則の細かい条文がどれだけ審査に影響するか、最初はあまりピンときませんでした。でも「規定の差が書面で確認できない場合は対象外」という基準を知ってからは、事前確認の重さが分かるようになった気がしています。
申請の流れでつまずきやすい場面
申請の大まかな流れはこうなっています。実施前の計画提出から始まり、取り組み後6か月分の賃金を支払ってから申請、という順番です。
コース実施日の前日までに、管轄の労働局長に提出します。
就業規則の改定が必要な場合は、発効・施行・監督署への届け出を計画書提出後に行います。
賃金支払日の翌日から2か月以内が支給申請の期限です。この期間を過ぎると申請できません。
ハローワーク足立(管轄)を通じて、または郵送・電子申請で提出します。
正社員化前6か月との賃金比較で3%以上の増額が確認できないと支給対象外になります。計算方法が複雑になることもあるため、事前にハローワークへ確認しておくと安心です。
足立区から公式情報を確認する方法
制度の最新情報は厚生労働省のホームページに掲載されています。年度途中に要件が変わる場合もあるため、取り組みを始める前に「令和7年度版のパンフレット」を確認するのが基本です。
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」公式ページ
- 東京労働局のキャリアアップ助成金案内ページ
- ハローワーク足立(千住1-4-1)の相談窓口
- 雇用関係助成金ポータル(電子申請・Q&A)
「制度は分かった、でも自社に当てはめると合うのか分からない」という場合は、まずハローワーク足立に電話で確認する方法があります。個別のコンサルティングはできませんが、要件の考え方は相談できます。
相談先を探すときに知っておきたいこと
ハローワーク足立のほかに、東京都内の「働き方改革推進支援センター」でも、労務管理の専門家(社労士など)による無料の相談を受け付けています。就業規則の整備方法や賃金設定の考え方など、具体的な相談がしやすい窓口です。
顧問社労士がいる場合はその方に確認するのが早いですが、いない場合は上記の無料相談を活用してみる価値があります。相談するだけなら、費用はかかりません。

相談先が一か所でも分かると、動き出しやすくなります
よくある失敗と事前に防げること
実際の申請でつまずきやすいのが、計画書の提出より先に転換を実施してしまうケースです。順番が逆になると、その取り組みは申請対象外になります。「先に計画書、後で実施」という順番は、どのコースでも変わりません。
もう一つ見落としやすいのが、就業規則の「周知」の扱いです。就業規則は発効・施行と同日付で労働者に周知した日から効力が生まれます。改定はしたけれど周知が後になっていた、という状態では要件を満たせない場合があります。
この制度が向かないケースも知っておく
雇用保険の適用事業所でない場合は、そもそも申請できません。また、申請時点で労働保険料の滞納がある場合や、申請日の前1年以内に労働関係法令の違反があった場合なども対象外です。
支給が確定する前に費用計画を組んでしまうのも、現実的ではありません。審査には時間がかかり、支給が確実という保証はありません。「もらえる前提で動かない」というのは、この助成金に限らず共通することです。
今週末にできる最初の一歩について
まず「自社が雇用保険適用事業所かどうか」と「非正規で働いているスタッフの雇用区分が就業規則上でどう定めているか」の二点だけ、今日確認してみるのがちょうどいい出発点だと思っています。
わたしの場合、制度の細かい条件より「どの書類が必要か」「相談できる窓口はどこか」を先に把握したほうが、動きやすくなる気がしています。ハローワーク足立の場所は千住にあるので、北千住方面に用事があるときに立ち寄るくらいの感覚で、まず場所だけ確認しておくのもいいかもしれません。
「名前は知っていたけど、ここまで具体的に整理したことはなかった」という方に、少しでも次の動きのヒントになったら、うれしいです。今週末、自社の就業規則を一度開いてみてくださいね。













